個人でやるべきお墓の管理

1)お墓は誰が管理するべきなのか?
お墓を新しく建てる場合、その多くは葬儀で喪主を務めた方が建墓の施主を務めます。
では、その後は誰がそのお墓を守っていくのでしょうか?
また、すでにあるお墓は、いま管理している人が亡くなった場合、誰があとを継いでいくべきなのでしょうか?

2)長男がお墓を守る、という考え方の根拠
よく言われるのは、その家の長男がお墓を守る、というものです、
この根拠は、戦前まで採用されていた旧民法における「家制度」です。
家督、つまり家父長制における家長権は、江戸時代から嫡子単独相続(長男が単独で相続すること)が確立され、これが明治以降も引き継がれました。
長男は、その家の家長権、財産権だけでなく、仏壇や墓などの祭祀権も相続することが当然でした。
日本国憲法直後に施行された民法の大改正により、家督制度は廃止されましたが、庶民レベルではまだこの考え方は現代においても残っています。

3)いまの時代は、長男でなくてもよい
さて、日本国憲法下の現行民法では、長男を祭祀承継者に定めるなどどこに記載されていないために、誰があとを継いでも構わないのです。次男でも、三男でも。親の代と生活をともにしていた、あるいは近くに住んでいた人がこれを務めることが多いようです。

4)「施主=墓守」とは限らない
お墓を守る人のことを「墓守(はかもり)」などと呼びます。
墓守の定義があるわけではないので、解釈のしかたはさまざまですが、現代において難しいのは、お墓を継ぐ人、つまり施主のことですが、「施主=墓守」とは限らない点です。
施主は、そのお墓の管理の決定権を持っていますし、寺院や霊園などとの窓口になる人のことです。
一方、「墓守」と呼ばれている人は、広い意味でお墓参りやお墓掃除を主体的にする人、と解釈できるでしょう。
施主が頻繁にお墓参りできればなにも問題はないのですが、遠方にいるために、施主に代わってお墓の近くに住む親戚や知人が墓守を務めることもあります。墓地の管理者である寺院や霊園が務めることもあるでしょう。

5)施主を中心に、家族や親戚みんなでお墓を守るのが理想
「墓守」という言葉には、どうしてもネガティブな印象がつきまといます。
昔と違って、現代は多くの方が生まれ育った土地を離れて、日本中あるいは世界中に移住する時代です。先祖を繋ぐお墓の守りをすることはどうしても重荷に思われてしまいます。
とはいえ、お墓は家族をつなぐ絆のシンボルです。亡くなった両親、祖父母、そしてご先祖様がいたからこそ自分たちがいる、という揺るぎない事実を、お墓は象徴しています。
施主が1人でお墓を守りするのは、とても大変なことです。
あくまでもお墓の管理の主体、窓口として施主がいて、実際的な管理は家族や親族全員でしていく姿が理想だと思われます。

6)お墓の管理でしなければならないこと
・お墓参り、お墓掃除
何よりもお墓参りが大事です。もちろんその時に掃除をするのですが、無理のない範囲でしましょう。お墓掃除が重荷でお墓を手放そうとする人がたくさんいますが、ご先祖様から見れば、子孫が会いに来てくれただけでよろこびです。重荷にならないお墓参りが理想でしょう。

・年間管理料の支払い
多くの墓地では年間管理料を徴収します。これは、墓地の共益部分を利用者全員で管理するためのものです。
また、毎年の支払いの義務があるからこそ、寺院や霊園とのご縁をつないでおくという側面もあります。

・行事や清掃への参加
寺院墓地であれば、寺院の法要や行事への参加を求められることもあるでしょう。
また、地域の共同墓地などでは年に数回の清掃作業などもあります。
公営墓地や民営墓地ではこうした行事や法要への参加はほとんどないでしょう。

お墓の承継者がいない場合について

お墓は、代々受け継がれていくことを前提として作られていましたが、昨今では、先祖のお墓を代々受け継ぐことが難しい状況にある人が多数います。
「お墓はあるけれど、あとに墓守する者がいない」
このようにお悩みの方がどうするべきかをまとめてみました。

1)お墓は誰が承継できるのか
【旧民法では長男 今では誰が承継してもよい】
戦前まで採用されていた旧民法では「家制度」があり、「長子相続」が原則であったために、家の長男が、資産や不動産などの「相続財産」だけでなく仏壇や墓などの「祭祀財産」も相続しました。

しかし、戦後に施行されて今でも引き継がれている現行の民法では、祭祀の承継を「故人の第一子」がしなければならないなどとはどこにも明記されていません。
ですから、長男でなくても、家の次男、三男などが引き継いでも構いません。状況によっては嫁いでしまった長女や次女が引き継ぐこともあります。

【親族でない他人もお墓を承継できる】
お墓は、親族以外でも承継することができます。

とはいえ、現実的にはいくつかのハードルがあります。
家族でない他人が墓守するためには、お墓を所有する家族、さらにはその親族、そして供養をする寺院や墓地の管理者である霊園などへの了承が必要となるでしょう。
さらに気を付けなければならないのは、霊園の規定では、家族や親族以外の承継者を認めない所が数多くある、というのが現状です。
もちろん、故人による遺言書が存在していて、承継者を指定してある場合はこればかりではありません。

2)跡取りのいないお墓はどうするべきか
【管理者側1年間連絡が取れなければ撤去することも可能】
跡取りのいないお墓は最終的には無縁墓として処分されます。
墓地や霊園の管理者側からすると、お墓の無縁化はとても由々しき事態であり、家族と連絡がつかずに困っている寺院は数多くあります。
管理者は、お墓に目立つように公告を貼り、さらには官報公告に出し、1年間何の連絡もなければ、墓石を解体撤去してもよいことになっています。

久しぶりに墓地に行ってみると先祖代々の墓がなくなっている、という話も実際にあります。
もちろん、寺院や霊園側もいきなりそのような決断を下すわけではなく、事前に施主や家族に何度もコンタクトを試みて、それでも連絡がつかずにどうしようもなくなった時の最後の手段だと言えるでしょう。

【家族側:石塔は墓じまい 遺骨は永代供養】
墓守がいない場合、多くの人は墓じまいをします。

いまあるお墓を放置したまま無縁墓になってしまうケースも多々あるのですが、そうではなく、きちんと自分たちの手でお墓を閉じるという姿勢こそが、家族の責任として大切なことでしょう。

墓じまいは、寺院に性根抜きをしていただいたあとに、石材店などに依頼しましょう。
石塔を撤去するだけでなく、その下の地面もきちんと更地にしなければなりません。
また、お墓の中に埋葬されていた遺骨は、寺院に預けて永代供養にしましょう。

3)お墓がない人はどうすればよいか
まだお墓がなく、承継者がいないためにお墓の建立を考えていない人向けに、さまざまな供養の方法があります。
昔から行われているのは、本山寺院への納骨や、寺院の永代供養。
最近では、樹木葬、散骨、ダイヤモンド葬など、次の世代の供養を必要としない方法がどんどん登場しています。

お墓に関する遺言書のポイント

1)お墓の承継者は家族以外でも可能
【相続財産と祭祀財産は分けて考えられる】
自分が亡くなったあとのお墓の管理をどうするべきなのかと考えられていませんか?
家族間ですでに誰が承継するかが決まっていればいいのですが、そうでない場合、いくつかの選択肢が考えられます。

仏壇や墓といった祭祀の対象物は「祭祀財産」と言われ、資産や不動産のような「相続財産」とは考え方が異なります。
相続財産が法定相続人に遺産分割されるのに対し、祭祀財産は親族の内の誰か一人が承継します。そしてこの承継者は誰がなってもよいとされています。

【承継可能な人たちの同意が必要】
とはいえ、いざ霊園に出向いて承継の手続きをしようとしても、すぐにできるわけではありません。

霊園側は、故人と承継者とのつながりを確認する書類を求めますし、承継可能な人たち全員の同意書を求めます。その人たちの実印や印鑑証明の提出を求めてくることもあるでしょう。

祭祀財産はそもそも分割できる類のものではないために、誰か一人に権利を承継しなければなりません。その時に親族間でもめ事にならないように、こうした手続きが必要となるのです。

2)お墓の承継者を遺言で指定する
【お墓の承継は誰でも可能】
お墓の承継は誰でも可能です。

戦前の旧民法では長男夫婦が相続財産と祭祀財産を引き継ぐものと定められていましたが、現行の民法では、相続財産は分割、祭祀財産は誰でも承継できるものとしています。
そのために、親族間での合意が大事となってくるのです。

【お墓の承継者を遺言書で指定する】
故人が生前に遺言書を残していれば、効力を発揮します。
承継者は親族ではない他人でも構いません。故人が遺言で指定したのであれば、その遺志に従わなければなりません。あるいは尊重しなければなりません。

もちろん、遺言をめぐってもめ事が起こるようなことは避けましょう。遺言作成時も、相続人との間で、または親族間との間での話し合いが望ましいでしょう。

3)遺言の種類
遺言には3つの書き方があります。

【1 自筆証書遺言】
自分自身で作成する遺言書のことです。
自筆証書遺言の場合は、本人が、遺言の内容の全文、遺言書を書いた日付、氏名を自筆で記入した上で押印しなければなりません。
パソコンやワープロなどで書かれたものは無効となります。

すぐに書けるというメリットがある半面、書類に不備などがあった場合無効となりやすいという面があります。また紛失の恐れもあります。

【2 公正証書遺言】
公正証書遺言とは、公証人役場に出向いて、遺言書を公正証書にする方法です。公正証書遺言は公証人役場で保管してもらいます。
この場合、遺言者、公証人、そして証人2人の立会いが必要です。遺言者は公証人に遺言の内容を説明します。

次に公証人がそれを書面化して読み聞かせます。
その書面が正しいことを確認した上で、遺言者と証人と公証人の三者が署名・押印をします。

公証人役場が保管するために紛失の心配がなく、効力を発揮しますが、作成までに手間と費用がかかります。

【3 秘密証書遺言】
遺言の内容を知られたくない場合は秘密証書遺言にします。

遺言は封筒に入れて遺言に押印したのと同じ印鑑で封印します。
これを証人2人の立会いのもと公証人に遺言として提出します。
公証人は所定の事項を封筒に記載したうえで、公証人、遺言者及び証人が署名・押印しなければなりません。
遺言は遺言者本人が保管するために紛失の恐れがあります。

お墓参りでしてはいけないこと

墓地は利用者全員にとって大切な公共の場です。
ひとりひとりがマナーの意識を持って使用することで、お墓参りがしやすい墓地が実現します。
ここでは、基本的なことばかりかもしれませんが、墓地でしてはいけないこと、注意しなければいけないことをまとめました。

1)非常識な時間帯のお参り
お墓参りの時間帯に決まりはありません。朝早くにお参りする方もおられますし、夕方にお参りに行くことが当たり前の地域もあります。仕事などで忙しい方は、早朝、あるいは夕刻という方もいるでしょう。
とはいえ、夜間のお参りは避けるようにしましょう。近隣の方が不安に思われるかもしれません。
また、開門と閉門の時間が決められている場合は必ず守りましょう。
寺院の境内にお墓がある場合も、山門が空いている時にお参りするようにしましょう。

2)他家の敷地内に入らない
お参りをしていると荷物や道具が広がって、ついつい他家の敷地内に物を置いてしまうことがあります。
また、墓地内を清掃する際に、側面や後ろに回り込むときについつい隣の墓地やうしろの墓地の敷地内に足を踏み入れることがあるかもしれません。

お墓は私たちにとっての住宅と置き換えてみて下さい。どんな事情でも、勝手に足を踏み入れられていい気はしないものです。
やむを得ない場合は仕方ないにしろ、極力他家の敷地内には入らないようにしましょう。

3)お墓にアルコールをかけない
故人様やご先祖様がお酒が好きだったということで、ビールやお酒などを墓石にかける人をたまに見かけますが、これは墓石の劣化のもとになります、絶対にやめましょう。

4)お供え物はきちんと持ち帰る
最近の墓地のほとんどは、お供え物を持ち帰るように促しています。
これにはいくつか理由があり、カラスや動物がお供え物を目当てに墓地内を荒らすことが多いためです。
また、浮浪者の人が墓地内を徘徊することの避けるためでもあります。
そのため、お供えしたものはきちんと持ち帰るようにしましょう。

また、アルコールに限らず、お供え物の染み出た糖分などがお墓のシミの原因になります。汚してしまった場合は墓石をきちんと拭きとっておきましょう。

5)ゴミは所定の場所に捨てる。なければ持ち帰る
古いお花などのゴミが出た場合、ゴミの集積場がある場合は必ずそこに捨てるようにしましょう。ない場合は自分たちで自宅まで持ち帰るようにしましょう。

6)清掃道具もきちんと元ある場所に片づける
墓地によっては、桶と勺だけでなく、タワシやスポンジやタオルなど、掃除道具を共有している墓地も数多く見かけます。これらを使用したあとは、きちんときれいに洗い流した上で、所定の位置に戻しましょう。

7)隣のお墓にもあいさつを
これは提案で、絶対にしなければならないわけではないのですが、自分のお墓の両隣は、簡単に手を合わす、枯れた花を抜き取る、というような慣習が根付けば、墓地全体がもっときれいになるのではないでしょうか。

そもそもお墓はご先祖様の家です。
わたしたちが自分の住む家でもしているように、お隣様とのお付き合いはとても大切なことで、これをお墓でしてもよいのではないでしょうか。
きちんとした掃除やお供えの必要はないですが、1つ手を合わせてあげるだけでも親近感が湧き、お墓参りがさらに楽しく、すがすがしくなるように思います。

お墓参り 順序とマナー

お墓参りの順番とマナーについてまとめました。
お参りの順番に沿って、それぞれのマナーや注意点について説明いたします。

1)墓地に到着
【住職や管理人へのあいさつ】
お墓にもさまざまな形態があります。寺院墓地であれば住職やその家族がいますし、民営墓地などでは管理人がいることもあります。
必ずしなければならないわけではありませんが、特に寺院などではひとこと挨拶をしてからお墓へ向かうのがよいでしょう。

【お参りの時間は常識の範囲内で】
お参りに行く時間は常識の範囲内にしましょう。
開門時間と閉門時間が決まっているところではその時間に合わせるべきです。
日が昇り、沈むまでの間であれば誰かの迷惑になるということはありませんが、夜間のお参りは近隣の人たちにも不安を与えるので避けましょう。

【六地蔵にも手を合わせる】
多くの墓地ではその入り口に六地蔵が祀られています。六地蔵は六道(地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天道)に生まれ変わる衆生を救うためにそこにおられます。また、墓地との境界に立ち、そこに眠る死者たちを見守るためにおられます。
お花やお線香をお供えしなくても、前を通る前には合掌して一礼しましょう。

2)お墓を掃除する
【まずは墓石に合掌と礼拝】
お墓の前に立つと、まずは手を合わせて礼拝しましょう。
「お墓参りに来ました。いまからお掃除を始めます」という挨拶を、まずはご先祖様にするのです。

【掃除】
お墓をきれいに掃除します。
地面から生えている草を抜き、墓石の汚れをきれいに洗い落とします。古い花は捨てて、花立ての中の水もきれいに入れ替えましょう。

お墓はそもそも野外で雨や風にさらされるものです。劣化してしまうのはやむを得ないことです。掃除も負担がない程度にしましょう。

3)お供え物を置く
墓前にはお花と、お供え物と、香を供えます。また、「水溜」と呼ばれるくぼみに水を入れます。
お供え物の下にはできれば半紙を敷くのがよいでしょう。
故人様の好物でお酒を供える方がいますが、絶対に墓石にかけないようにしましょう。石の劣化につながります。

4)お墓に手を合わせる
すべてのお供えができあがったら、気持ちを落ち着けて、手を合わせて、まずはお墓参りができたことの感謝を述べ、ご先祖様とじっくりと語らってください。

近況報告する人、寂しさを吐露する人、お願い事をする人、さまざまです。お経を声に出して読まれる人もいます。

5)隣近所にも気を遣う
一連のお参りの中で、隣や前後のお墓に迷惑が掛からないようにしましょう。
また、近隣のお墓が汚れていたら軽くきれいにしてあげるとよいでしょう。家の隣人と同じで、お墓の隣人とも仲良くされることをおすすめします。

6)ゴミの扱い
ゴミ捨て場が定めてある場合は、きちんとその場所に捨てましょう。ない場合は責任もって自宅まで持ち帰ります。

お供え物は、昔は墓前に供えたままにしておきましたが、最近ではほとんどの墓地がお供え物を持ち帰るようにと促しています。
カラスがやって来たり、浮浪者が侵入するなどして、墓地の中を荒らされることを防ぐためです。
また、墓石そのものの汚れを防ぐためでもあります。

周りの方に迷惑がかかるお墓参りは、ご先祖様自身がきっと悲しまれます。
お墓参りにおいては、特にマナーにはきちんと気をつけましょう。

お盆とは お彼岸とは

1)お盆ってなに?
【お盆は、1年で1番盛り上がる仏事の季節】
1年を通して1番盛り上がる仏教行事はお盆です。

仏間に提灯を飾ったり、お墓参りをしたり、施餓鬼法要もこの時期に行われます。
お寺さんの盆参りも慌ただしく行われます。お盆には檀家の家を一軒一軒回って供養をします。
お盆には死者や先祖の霊がわが家に戻ってきてくれるという信仰がいまでも生き続けているのです。

【お盆の時期は地域によって違う】
お盆といえば、みなさんはいつを連想されますか?

全国的には8月13日から15日ですよね。
ところが、地域によってはそれだけではないのです。

そもそもお盆は旧暦(太陰暦)の7月15日を中心に行われてきました。
そのため、関東地方や東北地方では新暦の7月13日から15日をお盆としています。
また、沖縄などの南西諸島では、今でも旧暦の7月13日~7月15日をお盆とするようです。たとえば、今年(平成29年)の場合だと、9月5日が旧暦の7月15日にあたります。

【お盆の由来】
お釈迦さまの弟子に目連という方がいて、この方の伝説が現在のお盆の起源です。
餓鬼道に落ちた母を助けるために、「安居の最後の日(修業期間の最後の日=7月15日)にすべての比丘(僧のこと)に布施をすれば助けることができる」という釈迦の教えを実践して母親を助けることができたという話です。
このため、お盆では先祖供養だけでなく、餓鬼道に落ちたものへの施しも行います。お盆に「施餓鬼供養」を行うのはそのためです。

自分たちの先祖だけでなく、無名の餓鬼たちにも施しを。
こうした有縁無縁すべてのものへの供養を行うのがお盆です。

送り火、迎え火、盆踊り、精霊流し、地蔵盆、お寺さんの盆参り、施餓鬼法要・・・

死者と先祖とのつながりを感じることができる季節こそが、お盆なのです。


2)お彼岸ってなに?
【お彼岸は、お盆に並ぶ仏教行事】
お彼岸は、お盆と並ぶ大きな仏教行事です。春と秋の二つのお彼岸があり、春分、そして秋分を挟んだ前後七日間のことを呼びます。

【お彼岸は日本にしかない】
お彼岸が仏教行事と言われるものの、実はインドや中国では見られないようです。
お彼岸を仏教行事として、先祖祭祀の日として位置づけているのは日本だけなのです。

【お彼岸は、万物が行きかう季節】
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉をよく耳にします
春の彼岸は、冬の終わりと春の到来を告げ、秋の彼岸は夏の風が涼しく感じられます。
春の彼岸のころには桜の気配がしだし、秋の彼岸のころには真っ赤な彼岸花が季節を彩ります。
虫や動物などの生き物が姿を現し、また山や土の中へ隠れていく時期でもあります。
こうした季節の変わり目は境界のようなもので、草木や動物などのあらゆる万物が行き交うのと同じように、生者と死者が出会う日だったのかもしれません。

【彼岸とは、煩悩に迷わされない「あちら」の世界】
彼岸とは、読んで字のごとく「あちら岸」という意味です。
自分たちがいるこの世界(此岸)との間には川が流れていて、その向こうの悟りの世界を「彼岸」と呼びます。
仏教用語には波羅蜜(パーラミター)という言葉があり、これの意訳の「到彼岸」に由来しています。
あちこちのお寺ではこの季節に「彼岸法要」が行われますが、仏教者としての悟りへの求道と、先祖供養とを兼ねた日本独特の法要だといえます。

【お彼岸にはお仏壇とお墓参りを】
お彼岸にはお仏壇とお墓参りをしましょう。

ちなみに秋分の日は「お墓参りの日」に制定されているってご存知でしたか?
国民の祝日に関する法律でも、秋分の日を「祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ。」と定められています。
春にはぼたもち、秋にはおはぎをお供えして、ご先祖様に会いに行きましょう。

宗派ごとのお墓の特徴

1)宗派によるお墓の決まりはありません
「宗派によってお墓の形って違うんですか?」
石材店に勤めている者ならこうした質問はよくお客様から聞かれるのですが、宗派によるお墓の形状の違いというのは、実はありません。
お墓文化の成り立ちは実に複雑に入り乱れているので、その起源を探ることは並大抵のことではないのですが、古来からの民俗、神道、儒教、仏教などがハイブリッドに混ざり合う中でできあがったのが現在のお墓の形です。
ですから、その中の一部である仏教をさらに細分化して、宗派別に形状が異なるということはないのです。

2)宗派による正面文字の違い
形状こそ違いはありませんが、宗派によって仏石の正面に彫刻する文字が異なります。

【○○家之墓】
どの宗派でも適用可能で、最もポピュラーな刻印文字です。宗派よりもまずはその家の墓であることを記す、もっとも原初的な文字彫刻だと言えます。

【南無阿弥陀仏】
阿弥陀如来に帰依するという意味の名号(みょうごう)です。
浄土宗や浄土真宗など、阿弥陀如来を本尊とする宗派で唱えられる言葉です。
特に浄土真宗では、先祖への礼拝よりも阿弥陀如来に帰依することを重視しているために「○○家之墓」よりも「南無阿弥陀仏」を彫刻することが多いようです。
また、浄土宗の場合は梵字の「きりーく」字を彫刻することもあります。「きりーく」字は阿弥陀如来を表します。

【南無釈迦牟尼仏】
釈迦如来に帰依するという意味の言葉です。釈迦如来を本尊とする臨済宗や曹洞宗などではこの言葉を刻印することもあります。

【南無大師遍照金剛】
真言宗の開祖である弘法大師(空海)に帰依するという意味の真言です。「御宝号(ごほうごう)」とも呼ばれます。真言宗ではとても大切で、最も身近に唱えられる「お経」であるために、この御宝号を正面文字として刻むこともあります。
また、梵字の「あ」字を彫刻することもあります。「あ」字は真言宗の本尊である大日如来を表します。

【南無妙法蓮華経】
法華経の教えに帰依するという意味の言葉です。主に日蓮宗や法華宗系の宗派で大切にされている言葉で、「お題目」などとも呼ばれます。
また、お題目でなく「○○家之墓」と彫刻する場合、その頭に「妙法」の2字を刻印することもあります。

3)宗派による戒名の違い
宗派によって死者に授ける「戒名」も宗派によって異なります。
戒名は、浄土真宗では「法名」、日蓮宗では「法号」などとも呼ばれます。
戒名を授けることを「授戒」と呼びます。授戒を受けることで出家者は正式な仏弟子として認められます。
授戒は、本来は生前の出家者に対して行われきたのですが、死者供養を仏教が担うようになり、死者に戒を授けることが一般化しています。
授戒は葬儀の中で執り行われ、その時に授かった名前を後日墓石に刻印します。

戒名の基本形は…

男性が ◇◇▲▲居士(信士)
女性が ◇◇▲▲大姉(信女)

…などですが、宗派によってはそれぞれの特徴があります。

浄土宗では戒名の中に「誉」の文字を入れます。
日蓮宗では法号の中に「日」の文字を入れます。

そして、浄土真宗の法名は他宗の戒名とは大きく異なり…

男性が 釋 ◇◇
女性が 釋尼◇◇

…というような形になります。

神道のお墓の特徴

1)神道ってなに?
神道とは、山や川や森などの自然現象や森羅万象に神が宿ると考える、日本独特の信仰形態のことです。祭祀の場所は神社であり、祭儀は宮司が取り仕切ります。
仏教が【菩提寺と檀家】の関係を確立したように、神道では【氏神(うじがみ)と氏子(うじこ)】という関係があります。
その土地の古い先祖たちは33年を過ぎるとホトケからカミになり、村の神社で祀られます。この村のカミのことを「氏神」で、その村に住んでいるもののことを「氏子」と呼びます。

2)明治から始まる神葬祭
神道は、仏教が伝来する以前から日本人の暮らしの中から醸成されてきた信仰形態ですが、明確な教義や教団があったわけではないので、教義や儀礼などがはっきりと明文化されておらず、民衆たちの生活の中での自然崇拝をゆるやかに体系づけていったと言えるでしょう。
神道が体系化され権威づけられたのは明治期でした。
仏教が国教であった江戸時代に対して、明治政府は天皇を中心として神道の国教化を計ったのです。
これまでの民衆の死者供養は仏教が担って来た役割だったために、当時の政府は急いで神式の葬儀(神葬祭)を公認し、神葬祭墓地を造りました。現在もある都営の青山霊園、雑司ヶ谷霊園、染井霊園はこうした流れの中で設立された霊園なのです。

3)神道のお墓の特徴(形状篇)
神道のお墓は、仏教を否定する形で登場した神葬祭の流れを汲むものであるために、一目で分かる仏教とは異なる特徴が求められました。ここでは、神道のお墓の形状の特徴をまとめてみます。

【仏石の先端が尖っている】
神道墓の一番の特徴は、軸石(家名などが刻まれている石)の先端が尖っていることです。こうした形状を「角兜巾(かくときん)型」と呼び、神道で重要視される三種の神器のうちの1つ「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」を表しているとされています。

【八足台と呼ばれる供物台がある】
神社や神事で用いられる白木の机のことを「八足案(はっそくあん)」と呼び、8つの足で造られているのが特徴です。
神道墓の供物台もこの形状にならった八足台にします。石に縦に切り込みをいれて左右で8つの足があるように見せ、この台の上に玉串を捧げます。また米や塩や酒や神饌(しんせん:お供え物の意)を供えたりもします。

4)神道のお墓の特徴(名称篇)
【奥津城(おくつき)】
神道ではお墓のことを「奥津城(おくつき)」と呼びます。「奥城」「奥都城」と書いたりもします。
たとえば、「鈴木家之墓」と彫刻するところを、神道では「鈴木家之奥津城」とします。

【男性は大人命、女性は刀自命】
仏教では死者に戒名を授けます。神道では「諡名(おくりな)」と呼ばれるものを墓石に彫刻します。生前の名前の下に、男性なら「大人命」、女性なら「刀自命」と名付けます。
「山田太郎大人命」「鈴木花子刀自命」といった具合です。
諡名は故人の年齢によってもさまざまな名称(彦命、姫命など)があるので、こればかりではありません。

5)神道のお墓の特徴(礼拝篇)
【原則的には、榊を供える】
神道の作法に則るならば、原則的に榊を供えます。
とはいえ、お花を供えても問題はないでしょう。

【お供え物は、洗い米、塩、酒、水】
神道での最も基本的なお供え物は、洗い米、塩、酒、水です。
これらを「瓶子」と呼ばれるお酒を入れる器や白皿に盛って供えるとよいでしょう。
その他、故人様のお好きだったものを供えても構いません。

【二礼二拍手一礼】
神道の基本的な礼拝作法は、二礼二拍手一礼です。
葬儀では「偲び手」と言って、音を立てずに手を叩くのですが、五十日祭を過ぎて忌が明けてしまえば、柏手(音を立てる拍手)をしても構いません。

改葬とは 手続きの流れ

1)改葬とは、遺骨の引っ越しのこと
改葬とは遺骨の引っ越しのことです。
さまざまな理由で住み慣れた地を離れて別の土地に移住される人がたいへん多くいる中、遺骨も一緒に引っ越ししようとする人は大変多くいます。
お墓と一緒に引っ越しされる方、またはお墓にある遺骨だけを取り出して引っ越す方など、その内情はさまざまです。
こうした改葬は勝手にすることはできず、必ず役所を通した書類上の手続きが必要になります。

2)遺体や遺骨に付随する公文書
遺体や遺骨には必ず公文書が付随します。
これは、取り扱う遺体や遺骨の身元を照合するためのものです。重要な書類なので大切に保管し、しかるべき窓口に提出しましょう。

【死亡診断書または死体検案書】
人が亡くなると、その人が死亡したことを証明する公文書が発行されます。
でなければ、その後の火葬や埋葬といった死後の手続きに進めません。
これが、死亡診断書または死体検案書になるのですが、これらは医師により発行されます。この書類が役所への死亡届を兼ねることになります。
故人の戸籍の情報、死因、死亡時刻、死亡場所などが記載されます。

【埋火葬許可証】
死亡届を役所に提出することで、火葬許可証を発行してもらいます。
いまの日本の火葬率は99.9%だと言われていますが、法律上、土葬も認められているために、書類の名称は「埋火葬許可証」となっています。
さて、火葬を終えた遺骨(焼骨)をお墓に埋葬する時には、遺族は必ずこの「埋火葬許可証」を墓地の管理者に提出しなければなりません。埋葬される遺骨が書類に記載された人のもので間違いないという証明になるからです。
また、墓地の管理者も、この「埋火葬許可証」がなければ納骨させることはできません。

【改葬許可証】
墓地に埋葬した遺骨を取り出して、別の墓地に埋葬したい場合、改葬元の自治体から「改葬許可証」を発行してもらい、改葬先の墓地に提出しなければなりません。

3)改葬手続きの流れ
ここでは、改葬手続き一連の流れを見ていきます。
1. 改葬許可申請書に必要事項を記入します。改葬許可申請書は役所で入手できます。また、申請者は改葬元の墓地使用者であることが一般的です。
2. 改葬元の墓地の管理者の署名と捺印をいただきます。
3. 役所に改葬許可申請書ならびに必要書類を提出し、改葬許可証を発行してもらいます。
4. 改葬元の墓地から遺骨を取り出します。
5. 改葬先の墓地に改葬許可証を提出し、遺骨を埋葬します。

4)改葬の注意点
1. 必要書類は自治体によって異なります。必ず事前に役所に確認しましょう。
2. 寺院墓地や、地域の共同墓地など、書類の管理がなされていない場合があります。「うちでは埋葬許可証は預かっていない」「昔の方の遺骨だからどこにいったか分からない」などはよく聞かれる声です。このような場合はすみやかに役所に相談しましょう。
3. 寺院墓地から改葬する場合は、寺院の了承を頂く必要があります。ただ遺骨やお墓を引っ越すだけでなく、供養していただいていた寺院との縁が途切れるわけですから、きちんと事情を説明しないとトラブルの種になってしまいます。

永代供養の料金・相場について

1)そもそも永代供養とは
永代供養とは、家族などに代わって、寺院や霊園が永代に渡ってしてくれる供養の方法のことです。単身者世帯が増えていたり、親子が遠く離れていることが当たり前となってしまっている昨今、永代供養を選択される方が増えてきています。

2)永代供養は昔からあった
永代供養自体は昔から行われていました。
その家に子供や墓守がなく途絶えてしまう場合には、寺院がその供養を一手に引き受けたのです。
とはいえ、それらの多くは菩提寺が檀家の供養を引き受けるのであて、昨今のように寺院や霊園が一般向けに永代供養を募ることはあまり見られませんでした。

3)さまざまな永代供養
永代供養にも、さまざまな形式や方法がありますが、最終的には家族の手を離れて寺院や霊園に供養を代行してもらう、というものです。13回忌や33回忌までは個別に供養して、それらの期間を過ぎると合祀(他の方と同じ場所に遺骨を埋葬すること)するのが一般的でしょう。もちろん、はじめから合祀を受け付けてくれるところも多々あります。

【単独墓】
単独墓とは、通常のお墓と同じことです。個別に石塔を建てて、お墓の中のカロート(納骨棺)の中で遺骨を骨壺のまま埋蔵します。一定期間(たとえば33年)を過ぎると遺骨は合祀されます。

【集合墓】
集合墓とは、1つの石塔やモニュメントの中に個別の納骨スペースが設けられているタイプのものです。駆体や地下室の内部に納骨室や納骨棚を設け、その中で遺骨を骨壺のまま保管します。集合墓の上部には石碑や仏像などの礼拝の対象物を据えます。こちらも一定期間を過ぎると遺骨は合祀されます。

【合祀墓】
合祀墓とは他の方との同じ場所に遺骨を埋葬するための施設です。単独墓の遺骨も集合墓の遺骨も、最終的には合祀されるので、土中に還すことができるように設計されています。

【納骨堂】
寺院によっては建物の中に設けた納骨用のロッカーを保有していることもあります。これは、造りこそ屋外用の石塔ではなく、屋内用のロッカーなのですが、礼拝スペースや遺骨の安置ができるように設計されています。ロッカータイプのものもあれば、仏壇タイプ(扉の中に宮殿や須弥壇などの荘厳がなされ、本尊を礼拝することができる)のもあります。こちらも一定期間を過ぎると合祀されます。

4)それぞれの費用の相場
永代供養の費用は、<寺院による供養料>+<遺骨の埋蔵施設の費用>で考えることができます。これらの内訳を個別に表示することもあれば、まとめて表示することもあります。

【寺院による供養料】
寺院による供養料は、寺院の考え方によって大きく異なりますが、10~50万円くらいがひとつの相場ではないでしょうか?

【単独墓の場合】
寺院による供養料+墓地・墓石代(約100~200万円)
※選ぶ墓地面積や墓石の種類などによって金額は増減するでしょう。

【集合墓の場合】
寺院による供養料+墓石への彫刻費(約25万~50万円)
※集合墓はすでに寺院や霊園側で用意されているので、供養料を支払うだけで埋蔵することができます。

【合祀墓の場合】
寺院による供養料+墓石への彫刻費(約5万~15万円)
※合祀墓は個別に供養や埋葬をすることなく、他の方の遺骨と同じ場所に埋葬します。そのため、費用を安価に抑えることができます。

【年会費や護持費】
寺院や霊園によっては年会費や護持費などが必要となることもあるでしょう。
墓地や墓石の管理や清掃などにかかる費用を利用者の方々の年会費で補うだけでなく、毎年の支払いがあることで寺院や霊園とのご縁をつなぎ続けるきっかけともなります。